インドビジネスがよく分かる中島敬二のインドコラム

インド労働関係法令

2014年年1月

*160以上の労働関連法[うち約50の連邦法]
*労働関連法規の特徴
・組織に属する労働者に対する保護が厚い[請負労働者、非組織労働者に対する保護が薄い]
・規定内容が詳細且つ複雑
・放棄に違反した場合、雇用者個人に対して刑事罰(懲役、罰金9が科せられる・
Ⅰ.労働関連法
1.労働基準関係法令
・契約労働(規則及び廃止)法 (Contract Labor Regulation & Abolition Act 1970 )
・産業雇用基本法 (Industrial Employment (Standing order) Act 1946 )
・工場法 (Factories Act 1948 )
・賃金支払法 (Payment of Wages Act 1936 )
・最低賃金法 (Minimum Wages Act 1946 )
・小規模店舗法 (Shops & Establishment Act )
・産業雇用基本法 (Industrial Employment (Standing Order ) Act 1946 )
・州間出稼ぎ労働者(雇用規則及び役務条件法)(Inter-State Migrant Workmen Act 1979)
・販売促進従業者 (Sales Promotion Employees (Conditions of Service ) Act 1976
 
2.労使関係法令
・労働組合法 (Trade Union Act 1926 )
・労働争議法 (Industrial Disputes Act 1947 )
 
3.社会保険関係法令
・労働者補償法 (Workmen Compensation Act 1923 )
・社会責任保険法 (Public Liability Insurance Act 1991 )
・労働紛争法 (Industrial Disputes Act 1947 )
・農村国家雇用保険法 (National Rural Employment Guarantee Act 2005 )
・従業員国家保険法 (Employee State Insurance Act 1948 )
・従業員準備基金・雑則法
(Employee Provident Fund & Miscellaneous Provisions Act 1952)
・退職給付金法 (Payment of Gratuity Act 1972 )
 
4.職業能力開発関係法令
・養成訓練制度法 (The Apprenticeship Act 1961 )
 
5.その他の法令
・雇用交換法(求人情報公開の義務)(Employment Exchange Act 1959 )
・拘束労働制度法 (Bonded Labour System (Abolition) Act 1976
・特定企業による申告書及び登録義務の免除に関する労働法
(Exemption from Furnishing Returns and Maintaining Registers
by Certain Establishments Act 1968 )
 
Ⅱ.労働基準関連法令
1.労働契約:
○契約労働(規制・廃止)法(The Contract Labor (Regulation & Abolition) Act, 1970)
・契約労働とは、雇用主が請負人と雇用契約を結び、請負人が労働者を集めて、雇用主に提供する仕組み。
・本法は、雇用主と労働者との中間的な立場になる請負人による、賃金の中間搾取を規制することにある。
・この法は20名以上の契約労働者を雇用する企業もしくは請負業者に適用される。
・登録証明書を有しない企業は契約労働者を雇用できない。
・請負業者も同様に契約労働者の雇用のための免許が必要
・請負人については詳細なる規定が定められており、例えば、労働者の健康と福祉を守るために、以下の事項の遵守が求められる。
・雇用する労働者が100人以上である雇用主は、食堂を職場に一つ以上設置
夜間労働が必要な職場では、休憩室を設けなければならない。その休憩室も照明と換気装置があり、休憩のために清潔でなければならない。
・職場内の適切な場所に衛生的な飲料水を備え、トイレや手洗い場の設置
・勤務期間中の緊急事態に備えて、十分な内容の救急医薬備品を用意
 
3.解雇規則:
・労働者の解雇については、産業雇用(規制)法(The Industrial Employment ( Standing Orders) Act, 1946 )以外に特別な法は定められていない。
・同法は企業が従業員向けに明示する就業規則で解雇手続きを定めることを認めている。・労働者の解雇が正当とみなされるために、雇用者が労働者の不行跡を証明することが求められる。不行跡とは、単なる失敗、手抜き、不効率を意味するものではなく悪意のある怠慢、職務命令に対する不服従、反抗を意味する。労働者側が示唆され、命じられた義務を履行しなかった場合に解雇が正当化される。
・会社の就業規則は企業独自の仕事の重要度に沿い不行跡の定義ができる。しかしながら、これは絶対的なものでなく、雇用者はこれが例示にすぎないことを明確にすることが求められ、解雇を行う前に雇用者は通念としての正義や種々の裁判所の判例から導き出されたガイドラインに沿うことが求められる。
 
・雇用者は不行跡を記録し、内々に事情聴取を行い、取り調べた担当者の報告を検討した結果、警告書を出した上で最終的に解雇通知(またはそれより軽い刑罰)を与えることができる。
 
4.賃金、労働時間、休暇、有給休暇、時間外労働、休日労働、時間外労働の割増賃金
(1) 産業雇用(規制)法(The Industrial Employment ( Standing Orders) Act, 1946 )
・この法は、特定の産業における企業に対し、雇用者が雇用条件を明確に規定することを求めている。即ち、雇用者は被雇用者に対し基本規則、含む規定を周知させなければならない。この基本規則の目的は、労働条件を無秩序で随意の不安定なものでなく安定的、かつ一律なものにすることを目的としている。
・本法は、全ての被雇用者に対し、均一で安定した雇用条件の付与を定める。具体的には、勤務時間、休憩、休日、休暇、雇用契約の解除、解雇など労働関係の基本となる基準を明示する。
・この法は100名以上の被雇用者を持つ企業に適用される、また、管理者以外のあらゆる職種に従事する労働者すべてに適用される。
・すべての企業は雇用者、被雇用者双方を拘束する基本規則を策定し、労働委員会あるいは地域労働委員会などから認証を受けなければならない。中央・州政府は基本規則の雛型を準備しており、企業はこの雛型の下に独自の基本規則を策定し、認定局から承認を受けなければならない。
・本法は2001年に改訂され、職場における女性のセクシャルハラスメントに関するガイドラインが盛り込まれた。
(2)工場法(The Factories Act, 1948)
・この法律の主要目的は工場における労働条件を規定することにある。また、工場労働者の安全、衛生、厚生に必要とされる基本的最低条件を備えることを目的とする。
・さらに労働時間、休暇、祝祭日、時間外労働並びに子供、女性、若年者の雇用に関しても規定される。
・本法はすべての工場に適用される。工場とは前年12カ月のすべての日において「10名以上の労働者が雇用され、動力を使用して製造工程が実施されている場所」、または「20名以上の労働者が雇用され動力が使用されず製造工程が実施されている場所」と定義されている。
・本法では工場におけるあらゆる事項に関して最高の権限を有する者を「工場長」と定義している。工場長は工場の建設地について州政府の事前許可を取得せねばならず、工場長は操業許可を取得するため工場を登記しなければならない。
・工場長は工場内の就業中の労働者の安全、衛生、厚生を確保しなければならない。この目的のために必要な方策が法で明確に定義されている。主たるものは下記のとおり。
*材料の安全な取り扱い、保管、輸送及び安全訓練
*清潔、産業廃棄物の適切な処理
*換気及び温度、湿度のコントロール
*塵芥及び排気の防止
*作業者の過密防止
*適切な照明と飲料水
*適切な便所と痰壺の設置
*危険な機械及び機械の稼働部分の囲い込み
*床、階段などからの障害物の除去
*危険な工程や健康に悪影響を与える原材料に対する特別な注意
 
・労働者に常に下記の福利厚生が確保されるべきである。
*衣類の洗濯、乾燥 *作業者(通常立って作業を行っている者)が休憩時吸われる席
*救急箱 *食堂 *休憩室及び昼食室 *託児室(女性労働者が30名以上いる場合) 
・労働時間に対する代表的な規則
*女性労働者は19時~翌朝6時の間は就業が許可されない
*14歳未満の子供を雇用してはならない
*複数の会社での雇用は許可されない
*労働時間は1週間あたり48時間、または1日当たり9時間を超えてはならない。
*連続5時間労働後最低30分の休暇を与えなければならない。
*1週間に最低1日の休暇を与えなければならない。
*所定の労働時間を超えて勤務させる場合は限度時間数が決められており通常の賃金の2倍の割増金を支払わなければならない。
*労働日数20日ごとに1日の割合で有給休暇を与えなければならない。
 
・全日雇用されている労働者は2つ以上の職に就くことが基本的に禁止されている。
・パートタイム労働者は雇用契約で禁止されていない限り2つ以上の職に就くことが可
・2007年、中央政府閣議は、女性が夜間シフトにおいて働くことができるよう工場法の改訂を承認した。
 
(3)最低賃金法 (Minimum Wages Act 1948 )
・本法は一定の最低賃金を定めることにより、未認可部門で働く労働者の利益を守ることを目的とし、中央および州の両政府が各々の管轄権限内において指定職種の労働者に支払われる最低賃金の決定、改訂、見直しを行うことを求めている。
・中央政府は46職種、州政府は1,535職種について定めており、両政府が指定職種の最低賃金を随時改訂する。
・最低賃金は収入、基礎資材の価格、生産性、支払能力、地域事情などの種々の要因により決定される。これらの要素は都市ごと、産業ごとに異なるため、全国規模でみると最低賃金はさまざまである。
・インフレに対する保護として中法政府は消費者価格指数(CPI)にリンクした変動可能給付(Variable Dearness Allowance )の条項を設けている。全国一律の最低賃金は現在のところ設定されておらず、このため中央政府は全国フロアレベルの最低賃金を導入、このフロアレベル最低賃金は定期的に改訂され、最新の改訂は1日当たり88ルピーで、2007年にそれまでの56ルピーから80ルピーに引き上げられ、2009年11月に100ルピーに引き上げられた。
・州政府は指定職種の労働者の最低賃金が全国レベルのフロアレベル最低賃金を下回らないようにすることが求められている。これを受けて、大半の州は全国フロアレベル最低賃金に合わせた最低賃金に改定した。
 
(4)賃金支払い法 (payment of Wages Act 1936 )
・本法は賃金の支払い周期、支払い方法などを規定することにより、賃金の支払い、罰金の賦課、賃金からの天引き等を統制し、旧来の因習を排除することを目的としている。
・法は一定周期の賃金を支払い、不当な天引きをしないように」規定しており、月間6,500ルピー以上の賃金を得ている労働者に適用される。
・雇用者は法で規定された特定の天引き以外は賃金から控除することはできない。控除総額はいかなる支払い対象期間においても、賃金の50%を超えてはならない。
 
(5)年賞与給付金 (Payment of Bonus Act 1965 )
・本法は企業で働く従業員に対し、利益、生産性に伴った賞与が支払われることに関する規定が定められている。
(6)小規模店舗法 (Shops  Establishment Act )
・本法の目的は、雇用条件を規定した工場法、あるいはその他の範疇にない商業店舗を含む店舗、会社などの組織されていない企業で働く労働者の労働及び雇用条件を法制化するもので労働時間、休憩時間の間隔、時間外労働、休日、休暇、雇用の終結、店舗の保持、雇用者と被雇用者の権利と義務について想定している。
 
(7)週ごとの休日に関する法 1942
・店舗、レストラン、映画館で働く従業員に週ごとに休日を与えることを規定している。 
6.若年者、女性、労働安全衛生、アウトソーシング(委託業務あるいは派遣労働)
・若年者にたいする特定の法律は現在定められていないが、本法では自働の労働に関する法律が規定されている。また、アウトソーシングに対する法も現状では定められていない。
 
(1)妊産婦給付法 1961年(The Maternity Benefit Act, 1961)
女性労働者が妊娠した場合、産前産後の手当や休暇に関する雇用条件を定める
(2)報酬平等法 1976年(The Equal Remuneration Act, 1976 )
・本法は、同一の労働に携わる男女労働者に、同一賃金が保証されることを定める。
・また、雇用における女性への性差別を禁止する。さらに労働者は、雇用主がこの法律により規定されている条項に違反する行為を行った場合、自ら苦情を提起する権利が認められている。
・また、同一労働に対し同一賃金が支払われなかった労働者は、雇用主に対して支払請求を申請する権利を持つ。
 
(3)児童労働(禁止及び規制)法 1986年
(The Child Labor( Provision & Regulation ) Act, 1986)
・本法は、14歳以下の児童に対する危険な職業や作業への従事を禁止する。
・限定的に児童労働が許可される職種もあるが、法規は厳格な制限を加えている。
・以下は、主な制限事項である。
・午後7時から翌朝8時までの児童労働、さらに徹夜労働を禁止する。
・1日当たりに限定的に許容される児童労働は、最低1時間の休憩を挟み、連続3時間を超過することはできない。
・限定的に許容される児童労働全員に対して、毎週1日の休暇を与えなければならない。
・雇用主は、常に児童の健康と安全確保に適切な措置を講じなければならない
 
7.その他
(1)  州間出稼ぎ労働者(雇用規則及び役務条件)法1979年
(Inter-State Migrant Workmen (regulation of Employment & Conditions of Service Act 1976)
・州を超えて就労する労働者の利益と役務の条件において安全を講じる法案
 
(2)  販売促進従事者 (Sales Promotion Employees (Conditions of Service )Act 1976 )
・本法は医薬品企業の販売促進を担当する従業員のサービス条件を規定するもので労働者補償法、最低賃金、妊産婦給付法、賞与支払法などもこれら販売促進従業員に適用される。
(3)債務労働制度(規制・廃止)法(The Bonded labor System( Abolition ) Act, 1976
・債務労働(The Bonded labor)とは、給与の前貸しによる強制労働制度。
・前借額が大きく膨らんだ労働者は、実質的には無償か、法定最低賃金よりは低い賃金で、長期間働かされることになる。こうした旧来制度の餌食となるのは、未組織労働者であり、膨大な額となった債務の返済完了まで働かされることになる。
・本法は、これらの未権利状態で虐げられた債務労働者を解放し、債務の帳消しも実行して、生活を立て直し社会復帰できるような諸制度を提供するよう国に命じる。
・当然のことながら本法では、一切の債務労働の契約、その慣行などを無効とする。
・しかしながら現実の社会では、雇用主が一度は労働者を債務労働から解放したとしても、またすぐに新しい債務を負わせて(労働者が債務を負わなければならない状況にあり)、再び強制労働させる事例が多いとされている。
 
Ⅲ.労使関係法
1.労働組合~労働組合法:(The Trade Unions Act, 1926, 2002年改正)
・労働組合とは、労働者・雇用者間、労働者同士、雇用者同士の関係を規定する目的で一時的または恒久的に形成された団体であると規定されている。
・労働組合に団体交渉を行う法的な力を与える目的で登記することを規定している。最低10%または100名いずれか少ない構成員を持つ組合が登録可能で、組合の最低構成員7名を下回る場合は登録できない。本法では登録された労働組合に一定の保護と権利を供与している。
・登録された組合の専従組合員は総専従組合員の3分の1、もしくは5名のいずれか少数を除き企業に実際に雇用されている者でなければならない。

2.労働争議解決システムに関する法令~労働紛争法:(The Industrial Disputes Act, 1947)
・本法は、労働組合に関わる包括的な内容を規定する。特に、労働組合が、使用者側と対等な立場から、雇用・労働条件に関する団体交渉を保障する。
・労働組合としての登録は、任意登録制を採用する。政府機関に手続を経て登録された労組に対しては、一定条件の保護と特権の付保を認める。
・さらに、登録した労働組合については、動産・不動産の取得・管理権や契約締結権が認められている。同時に登録済み組合は、当該年の財政収支と資産・負債の状況などについて、政府への報告義務が定められている。
・2002年の改正同法では、個別企業の全従業員の10%以上、または100人以上が加入する労組だけの登録を認める。
・本法は、かつてインドで多発した労働者によるストライキ、ロックアウトなどの実力行使に頼ることなく、適切なる労使交渉での労働争議の円滑な解決を目的とする諸規定がある。
・争議法との名称であるが、争議解決のための団体交渉の重要性が強調されており、さらに団体交渉が失敗した場合には、労使双方が、労働審判所、労使審判所、全国争議審判所において調停、仲裁、裁定の請求を認める。
・また本法の特徴は、労働者のレイオフ(一時待機)やリストラについての規定も設けてあることである。
・裁判による調停のため労働裁判所、産業裁判所、国家裁判所からなる3段階のシステムがある。
*労働裁判所は、雇用者による従業員の解雇命令の正当性、合法性などの小さな紛争を取り扱う
*産業裁判所は、賃金、手当、労働時間、休暇、休日などのより重要事項について裁定を行う。
*国家裁判所は、国家重要事項に関する疑問点、複数の州の企業に影響する問題解決を行う。
 
Ⅳ.労働保険関連法
1.労働者災害補償保険:
(1)  労働者補償法  ( workers Compensation Act 1923 )
・本法は、労働者が雇用から生じた、もしくは雇用中の事故により死亡したり障害を負ったりした場合、当該労働者あるいはその扶養家族に対して救済を講じるものであるが、「労働者保険法 1948年」が適用される企業、工場では適用が除外される。
・本法が適用される企業の雇用者は雇用から生じた、もしくは雇用中に労働者が自己に遭い死亡、恒久全障害、恒久的な一部障害、または全障害、部分的障害を問わず、一時的障害を負った場合、補償を行わなければならない。また、労働者が雇用中に職業病に罹患した場合も補償がされなければならない。
・怪我による障害が3日以内の場合、怪我が当該労働者による故意の安全規則無視に直接起因する場合、または疾病が事故や職業に直接起因していない場合には雇用者はその補償を行う義務はない。
・補償額は障害の程度により定められている。生涯にわたる全障害並びに死亡に対する最低補償額はそれぞれ9万ルピー、並びに8万ルピーと定められている。
・補償金は労働者のいかなる債務に対し、差し押さえ、充当、相殺することは認められない。
 
(2)社会責任保険法 (Public Liability Insurance Act 1991 )
・本法は危険物資の取り扱い中に発生した事故により被災した人々に対し、応急の救済を与えることを目的とする公共責任保険で、事故により死亡、怪我を負った人々(作業員を除く)あるいは財産に対する損害を発生させた場合、所有者は規定に沿い救済の責任を負う。
 
(3)私傷責任保険法 ( Person Injuries (Compensation Insurance Act 1963 )
・本法は従業員が私傷を負った場合、雇用者に保障の義務を負わせ、その義務を果たすために雇用者保険を備えるものである。
 
2.雇用保険:
(1)労働紛争法 (Industrial Disputes Act 1947 )
・本法は従業員のレイオフ、解雇、企業の閉鎖について規定を設けているが、雇用保険についても下記の規定がある。
・本法に規定された事由により雇用者が労働者に雇用を提供できない場合、その状態をレイオフと称する。レイオフを実施する場合、雇用者は7日前まで事前通告をしなければならない。レイオフする場合、雇用者はその従業員に補償しなければならない。
・リ・トレンチメント(人員整理による解雇)とは、従業員が不行跡による解雇、定年退職、雇用契約の不更新、長期にわたる健康不良以外の理由により雇用を打ち切ることを意味する。解雇を実施に移す前に雇用者は一定予告期間内に事前通知を行い、政府の事前許可を取得しなければならない。解雇された従業員は勤続期間1年について平均所得の15日分を補償金として受け取る権利を有する。
・本法では企業の閉鎖に関して規定している。企業を閉鎖しようとする雇用者は事前に政府の許可を取得し、従業員に対し一定の予告期間を設け、上述の率による補償を行わなければならない。
 
(2)農村雇用補償法 (National Rural Employment Guarantee Act 2005 )
・本法は農村地帯において、世帯の成人が1年を通じて未熟練労働者に自発的に従事する家庭において、会計年度ごとに最低100日以上の賃金保証を提供することにより農村家族の生活の安全を強化するものである。
 
・中央政府の指示により、各州政府はそれぞれの州の農村部において雇用を与える責任がある。この制度に基づいて就業した者は一般的に支払われている日当額に相当する賃金を受け取る権利を有する。
 
3.健康保険~労働者国家保険法 (Employment State Insurance Act 1948 )
・本法は労働者に対し生命、雇用上の事故[職業病も含む]に関わる医療救済、疾病に関する現金給付及び補償を行うことを目的としている。また、女性労働者に対し妊婦給付及び労働者の遺族に対し年金給付を行う。
 
・本法は積立金による制度運営となっている。雇用者は各賃金機関における労働者の総賃金額の4.75%を積み立てなければならない。労働者は賃金の1.75%を積み立てる。但し、ある賃金機関における1日当たりの平均賃金が25ルピーに満たない場合は労働者の積み立ては免除される。労働者の積み立て分は雇用者により賃金から厳選聴取される。
・雇用者が積み立てを怠った場合は、その不払い機関の長短により年5~25%の率で損害賠償をしなければならない。
・雇用者が労働者の積立金を払い込まず、その結果労働者が受給の権利を喪失したり、本来より低額の給付率になったりした場合は、労働者保険機構(ESI)は労働者に本来の率の給付を行い、雇用者からその差額または雇用者により払い込み済みの積立金の2倍のいずれか大きい方の額を積み立てる。
・本法は10名以上を雇用し、動力を使用して製造工程を営む工場、または20名以上を雇用して動力を使用せずに製造工程を営む工場すべてに適用される。本法が適用される労働者は妊産婦給付法及び労働者補償法は適用されない。
・対象となる企業に直接または労働者請負業者を介して雇用され、賃金月額が10.000ルピーを超えない労働者に本法が適用される。
・この労働者保険制度は労働者保険機構(Employee State Insurance Corporation)と呼ばれる独立組織により運営される、本法の適用を受ける雇用者は同機構に企業登録を行わなければならない。
・本法により給付を受ける権利を有する労働者は、この制度による給付を受けるため所定の手続きにより保険制度に加入しなければならない。すべての加入者及びその家族は同機構指定の病院、診療所で所定の医療をうけることができる。
・同機構は労働者の健康、福祉の改善、後遺障害を負ったり怪我をしたりした人の障害回復訓練及び再雇用の諸施策を講じる権限が与えられている。
・企業の衛生状態の悪さが原因で、労働者間に通常起こり得ない過度の疾病が発生していると同機構が認定した場合、医療給付としての枠を超えて支出した額を雇用者に請求することができる。
 
4.退職金~退職金給付法 (Payment of Gratuity Act 1972 )
・本法は従業員が長期にわたり欠点なく勤務を行い退職する際に退職金を給付することを目的とする。本制度は工場、鉱山、油田、大規模農場、港湾、鉄道及び自動車による運送業、会社及び小規模商店に適用される。
・継続年数1年につき1年当たり15日分の賃金相当額、6か月以上1年未満についても同じ率で35万ルピーを上限として退職金の支払いを規定している。季節営業の企業の場合、各季節につき7日分の賃金相当額が給付される。
・雇用者との間でこの規定より有利な条件を受ける規定や契約がある場合、本法は従業員のその権利を妨げない。
 
5.年金:
(1)  従業員準備基金及び雑則基金法
(The Employees Provident Fund & Miscellaneous Provisions Act, 1952 )
・この法規の目的は、労働者の終身雇用による退職後の生活保障と、退職前に死亡した際の遺族の生活保障である。
・内容は、雇用者側に準備金の積み立てを義務付けるものである。
・また、この規定では被雇用者数20人以上の事業所に適用される一方で、賃金月額5,000ルピー以下の労働者は、満60歳まで従業員準備基金に加入できる。
・下記の事業体は除外されている。
*従業員50名以下の協同組合及び動力を使用しない業種
*設立後3年に満たない企業
*中央、または州政府が設立する事業体で自身の準備基金や年金の制度を有する事業体
☆本法は、さらに次の3つの制度がある。
・以下の制度のもと、中央政府は各々個別の基金を設立し雇用者、従業員双方が積立金を払い込む。
 
(a)従業員準備金制度 (Employment Provident Fund )
・従業員準備基金の預託金は、特別預託機構により安全に運用されることが定められている。
・準備基金の運営管理者は、個々の加入者の基金を管理・運営し、政府により基金運用利率が決定され運用基準も定められている。
・加入者は、以下の用途目的に限り、基金から一定の限度額を引き出せる。
*住宅の購入、建設 ・住宅のリフォーム ・ローンの返済 ・娘の結婚
*自然災害で失った財産の回復
・さらに、勤務先の閉鎖、ロックアウト、自己の病気などの緊急事態において、現金が必要な場合には、加入者基金から脱退することができる。
・加入者が死亡した場合、その加入者が指定した受取人または法定相続人、あるいはその両方に支払われる。
・加入者の保有する残高は債務の返済に充当されたり、裁判所の決定により差し押さえさられたりすることはない。
 
(b)従業員年金制度 (Employee Pension on Scheme 1995 )
・本制度は、長期間就業した者への年金制度である。
・即ち、従業員が20年以上勤務したことを条件として、58歳で定年退職した場合は、毎月一定の年金、58歳以前に退職した場合は、退職年金が支給される。
・さらに、10年以上20年未満の勤続年数で退職した従業員には、短期勤務者年金が支給される。勤続年数が10年に満たない退職者には、基金への拠出金が一定の利率で払い戻される。
・加入者が雇用期間内に全障害を負った場合は、加入者が行った積み立てに関わらず毎月の年金を受け取ることができる。これに加え、毎月の寡婦年金、子女年金及び遺児年金制度もある。
 
(c)従業員預金リンクリンク保険制度
( Employees Deposit Linked Insurance Scheme 1976 )
・この制度は、従業員に生命保険の加入者としての恩典を付与するために1976年に創設された。
・加入者が勤続中に死亡した場合、前年12ヶ月間または加入期間中の準備基金の積立金の平均残高のいずれか低い金額が有資格遺族に支払われる。
 
(2)基金の積み立て
・雇用者は各従業員の準備基金及び年金基金へ次の金額の積立てを行わなければならない。
*従業員数20名未満の企業においては規定された手当てを含む基本給の10%
*従業員数20名以上の企業においては規定された手当てを含む基本給の12%
・積立金の一部は年金基金に振り込まれ差額は準備基金に残る。
・雇用者は自己の給与の0.5%を「従業員預金リンク保険制度」に積み立てなければならない。雇用者はこれに加えて準備基金の管理費用として従業員賃金の1.1%の金額および「積立関連保険基金」の管理費用として従業員賃金の0.01%の金額を積み立てなければならない。
・従業員は雇用者の積立額と同一の金額を積み立てなければならない。但し、従業員は「積立関連保険基金」への積み立てを行う必要はない。従業員が希望する場合は、規定よりも高い率での積み立てをすることが認められている。
・中央政府もまた、加入者の窮余の1.6%に相当する金額を年金基金に積み立てる。
・雇用者が積立金の支払いを怠った場合、規定の罰金が課せられる。(年間17~37%)また、支払いを要する期日から実際に支払った日までの期間に対し延滞金利として年率12%の利息を支払わなければならない。雇用者が支払うべき積立金、損害補償金及びその他は当該雇用者の財産の差し押さえ、売却により回収することができ、また逮捕もあり得る。 
(3)免除制度
・従業員100名以上の企業は「準備基金員会」の承認を得た後、民間準備金スキームに加入することが許される。しかし、その民間準備金スキームは労働者にとって政府による基金より不利なものであってはならず、従業員の過半数の同意を得なければならない。
・基金に集められた賃金は特定の証券、特別積立制度及び公的金融機関、銀行の債券・証券に対し特定の投資パターンにより投資される。
・従業員が本法に適用されない企業に転職した場合、当該従業員の希望があれば準備基金の累積残高を就職先の口座に移転しなければならない。本法が適用される企業に転職
した場合は、当該従業員の希望により累積残高を転職先の準備基金口座に移転することができる。
 
(4)準備基金委員長の責任
・雇用者は所定の積立金を、所定の起源内に所定の方法により払い込むことで義務を果たすことになる。従業員は準備基金委員長から準備基金及び年金の給付を受ける。
・給付が申請された後、何の瑕疵(かし)がないのみ拘わらず30日以内に給付しない場合、同委員長はその遅延に対して個人的に責任を問われ、給付金に対して年率12%の罰則的利息が課せられ、委員長の給与から差し引かれる。
 
6.その他の法律
(1)以下は、特定部門の労働者を対象として制定されている
・The Dock Workers( Regulation of Employment ) Act, 1948
・The Plantatiion Labour Act, 1951
・The Mines Act, 1951
・The Working Journalist and other Newspaper Employees( Conditions of Service and
Misc. Provision ) Act,1955
・The Motor Transport Workers Act, 1961
・The Beedi & Cigar Workers( Conditions of Employment ) Act, 1966
・The Sales Promotion Employee( Conditions of Service ) Act, 1976
・The Inter-State Migrant Workmen( Regulation of Employment and Conditions of Service ) Act, 1979
・The Shops and Establishment Act
・The Cinema Workers and Theatre Workers( Regulation of Employment ) Act, 1981
・The Dock Workers( Safety, Health & Welfare ) Act, 1986
・The Building & Other Construction Workers( Regulation of Employment & Conditions of Service ) Act, 1996
・The Dock Workers( Regulation of Employment ) (Inapplicability to Major Port ) Act,1997
 
(2)労働保険、補償、社会保障については、特定の部門労働者を対象
・The Mica Mines labour Welfare Fund Act, 1946
・The Limestone & Dolomite Mines Labour Welfare Fund, 1972
・The Beedi Workers Welfare Fund Act, 1976
・The Iron Ore Mines, manganese Ore Mines & Chrome Ore mines Labour Welfare Fund Act, 1976
・The Cine Workers Welfare Fund Act, 1981
・The Employment of Manual Scavengers(掃除夫)and Construction of Dry Latrines Prohibition Act, 1993
 
(3)その他の法規-インド中央政府の労働法規には、以下も含まれる
・The Employment Exchange( Compulsory Notification of Vacancies ) Act, 1959
・The Fatal Accident Act, 1855
・The War injuries Ordinance Act, 1941
・The Weekly Holiday Act, 1942
・The National and Festival Holiday Act
・The War Injuries ( Compensation Insurance ) Act, 1963
・The Personal Injuries (Compensation Insurance) Act, 1963
・The Coal Mines( Conservation and Development ) Act, 1974
・The Emigration Act, 1983
The Labour Laws( Exemption form Furnishing Returns and Maintaining Register by Certain Establishment ) Act, 1988
 
Ⅴ.職業能力関連法令
1.徒弟訓練法(The Apprentices Act, 1961 )
*本法は、雇用者が企業内で養成訓練を施すことを義務付けている。また、養成訓練制度の条件を規定するガイドラインを規定している。
*本法は公的部門及び民間部門双方の雇用者に対し、指定された職種において、従業員数(未熟練労働者を除く)に対し一定の割合に応じて養成訓練性を従事させなければならないことを規定している。その割合は設備、養成訓練修了技術者及びその他関連事項によって決められる、またこの割合より多くの養成訓練性を受け入れることには慎重であるべきである。
*複数の雇用者が協働でこれらの義務を果たすことも認められる。公共の利益が望まれる場合には、本法で規定する以上の割合の養成訓練性に訓練を施すことが要求されることもある。
*雇用者と養成訓練性との間で書面による養成訓練契約を結び、その契約書は登録されなければならない。養成訓練性が年少の場合、保護者が代理で契約を結ぶことができる。企業の性格により「中央政府養成相談所」または「地方政府養成相談所」のいずれかが登録を受ける。
*本法は当初、職人養成訓練のみを対象としていた。1973年の改定により大学卒業生及び技術者(専門学校卒業生)養成訓練も対象に加えた。本法は1987年に再度改定され、12学年職業高校卒業者を技術養成訓練生として加えた。
*養成訓練契約に基づき、養成訓練を受ける者を養成訓練生と称する。養成訓練契約及び所定の条件に基づき産業あるいは企業において実施される一連の訓練を養成訓練と規定している。
*本法の施行は労働雇用者の雇用訓練局(Central General of Employment & Training )の傘下の養成訓練部( ex-office Director of Apprenticeship Training )の中央養成訓練相談所が全責任を持つ。
*本法により中央養成訓練審議会( Central Apprenticeship Council :CAC )と称する組織が設立され、政府に対して養成訓練に関する政策事項、基準及び標準について助言する。CACは労働・雇用省大臣を議長として人的資源省の閣外大臣と共に運営する三者組織で、雇用者、職種別労働組合および産業、労働、技術教育に関する豊富な知識、経験を有する代表者が委員となっている。
*多くの州政府が州の養成訓練生審議会を設立し、それらの委員会の構成は中央の組織に類似している。
 
*雇用訓練局葉中央政府の公営企業、部局における養成訓練制度の実施についても責任を負っている。州養成訓練生相談所が州内実施について責任を持つ。人的資源省は大学卒業生、技術者養成訓練生に対する実施の責任を負う。
*本法では職業技術者の養成訓練として下記の3種類を想定している。
 
(1)   基礎訓練
・過去に組織的な訓練を受けたことのない養成訓練生は基礎訓練コースを受講しなければならない。500名以上の労働者を雇用する企業は基礎訓練を行う施設を整えることが求められる。従業員数がこれに満たない企業、または養成訓練生の数が12名未満の場合は基礎訓練センターまたは政府の産業養成訓練所 (Industrial Training Institute:ITI)に委託することも可能である。
nbsp;
(2)   実施訓練
・雇用者は企業内に実施訓練コースを設けなければならない。
 
(3)   関連知識
・企業内で実施訓練を受けている養成訓練生には関連知識のコースを与えなければならない。資格熟練工になるために理論的裏付けとなる知識を与える。
*種々の職種に関する資格並びに養成訓練期間が規定されている。31種の職部の中に
137の職種が分類されている。訓練期間は職種により6カ月から4年である。
*雇用者は所定の最低手当を養成訓練生に支給しなければならないが、これは労働に対する手当ではない。
*大学卒業生、技術者、職業技術養成訓練生に対する主な形態は下記のとおり。
(1)すべての担当部門において訓練期間は1年間
(2)定員は管理面、訓練教師及び訓練施設の実情に基づいて決められる。
(3)養成訓練相談所及び企業の共同作業により訓練プログラムが準備される。
(4)   手当の額は法で規定されている。
*雇用者は訓練終了後当該養成訓練生を雇用する義務はない。同様に養成訓練生にも当該企業に雇用される義務はない。但し、養成訓練契約の中で訓練終了後について規定されている場合は、その条文が効力を持つ。
*訓練生は労働者ではなく、訓練生とみなされる。従って労働関連法令は養成訓練生には適用されないが、高情報の健康、安全、福祉についての条文が適用される。労働補償法の養成訓練生に関する規定も適用される。行跡、規律については企業の規則に従う。
*従業員250名以上の企業においては養成訓練生の基礎訓練に関して継続的に発生する非経費[手当の支払いを含む]は雇用者が負担する。大学卒業生、技術者及び職業技術者養成訓練生に対する経費は雇用者の負担となるが、手当は中央政府と雇用者で折半して負担する。
*雇用者は各養成訓練生の訓練の進捗状況を記録しなければならない。養成訓練相談所はこの記録の維持のため、企業に立ち入り検査をすることができる。
*特定の職種においては、指定カースト及び指定部族に対し訓練の場が確保されなければならない。
 
3.職業能力評価制度
・上記養成訓練法で職業能力の評価についての規定が設けられている。
(1)   訓練を修了した養成訓練生は雇用者、労働者、中央・州政府の代表で構成されるインド職業訓練審議会 ( national Council for Vocational Training:NCVT )が実施する全インド職業試験をうけることが義務付けられている。このテストの合格者に国家養成訓練証明書が与えられ政府・半官半民の部局、公営企業の雇用に際資格として認められる。(2)   大学卒業生、技術者、技術養成訓練工は訓練修了時人的資源省から証明書が交付される。
 
Ⅵ.その他の雇用労働関係法令
1.職業紹介制度
*雇用交換法(求人情報公開の義務化)
(Employment Exchange-Compulsory Notification of Vacancies –Act 1959 )
*本法は求人情報を公開することを義務付けている。すべての公営企業及び指定された民間企業は、採用を行う前に労働市場にその求人情報を開示しなければならない。
*以下を除くすべての企業に適用される。
・農業及び園芸 ・家内労働  ・3カ月未満の短期雇用 ・未熟練事務作業
・国会の事務員 ・既存従業員の昇進または過剰従業員の吸収により求人枠を埋める場合・月額報酬60ルピー未満の雇用
 
2.外国投資により進出した企業で、海外から招聘され就労する者の労働許可条件
*インドで働くための労働許可は必要とされない。就業のためインド国内に入国する外国人は有効な雇用ビザ( Employment Visa )を保有しなければならない。ビジネスビザや観光ビザをインド国内で雇用ビザに変更することはできない。
*雇用ビザを持たない就労者は、給与国外送金は認められない。
*180日以上のインド滞在を希望する外国人及びその家族、もしくは180日以上のビザを保有する外国人はFRRO(Foreigners Regional Registration Office )に登録しなければならない。
*外国人及び外国企業の本社からインドの事務所に派遣される永久滞在者でないインド国籍を持つインド人は給与(純額)の10%まで家族の生活のための送金が許可される。
*外国人及びインドに派遣されるインド国籍を持つインド人は必要な税金をインドで支払うことを条件に、給与の75%までを海外の企業により海外で支払われることが許可される。
*通常非居住者は外国企業の支店、事務所、現地法人などのビジネスを行う上で必要なケースを除き、不動産の習得は許可されない。
 
3.その他雇用労働に関する法令
(1)  労働法-特定企業による申告書及び登録の免除に関する例外 (Labor Law-Exception from furnishing & Maintaining Registers by Certain Establishments Act 1988)
・本法は従業員が10名以上19名未満の小規模企業、従業員が9人以下の零細企業に対し、労働関連法案で定められた多様な申告書の代わりに簡単な申告と登録申請を一緒にした書類で済ませることを認めている。
・2005年8月、本法の改定案が国会に上程された。この改定法案は労働関連所法定で定められた申告書や登録申請書の様式の簡素化を目指している。また記録の維持に対する妨害や記録維持の不履行に対し、一律の罰則を課す改定も提案している。
・現行法では従業員19名未満の企業が対象になっているが、これを500名以下の企業に適用することが提案している。簡素化された書式の導入により数多くの労働法で要求されている登録手続きや申告書作成を軽減することになる。
 
(2)未組織化企業労働者社会保障法案
・2007年9月10日議会に提出されたこの法案は、未組織化企業得働く労働者の社会保障制度を構築するもので同法令の主たる内容は下記のとおり。
*未組織化企業労働者とは、従業員国家保険法、従業員準備基金あるいは保険会社による保険、年金制度が適用されない部門で働く従業員を意味する。
*法令では各々の労働者に社会保障番号と社会保障カードが与えられる。
*健康保険、妊婦給付、年金などの社会保障給付が未組織化部門労働者に与えられrことが提案されており、将来は子女教育、住宅、技術習得などに対する給付も含まれる、
*未組織部門労働者が社会保障構造及び給付の中に組み込まれ、発言力を上げることを強化する。
*法令は中央社会安全公社を通じて実施され、同公社は中央および州政府、未組織化部門労働者、専門家などの代表による管理委員会を持つ。
*各労働者は福祉基金のメンバーになるため少額を支払うことで制度の対象者となる。
*労働者は、労働者簡易センター (Workers Facilitation Center )に登録次第、死亡、保険、恒久的障害、保障、妊産婦給付を含む中央政府による基金の最低制度の受給権利を持つ。
*中央社会安全公社は更に福祉基金を設立するが、その資金は下記を予定している。
*特種税 (Cess ), 税金、費用を適宜賦課徴収。特殊税は個々の雇用者、雇用者グループ、産業界に課税。中央、州政府からの補助金、貸付、寄付、労働者の加入費及び特定スキームに対する積立金
 
(3)インドの労働法に関する一般的意見
・インドにおいては、労働・雇用法の厳格な適用という名目の政府検査官による企業への立ち入り検査が問題視されてきたが、産業界へ当局検査官の不要な介入を減らすため下記の手続きが採用された。
*従業員国家保険法:雇用者が義務に従わず、法に違反している場合のみ検査を行うことを慎重に検討することに改定
*従業員準備基金法:検査は法が順守されていないとの特定の訴えがなされた企業のみに行われる。
*ITソフトウエア・サービス会社に対しては、種々の労働法に基づく定期的検査を除外する。