インドビジネスがよく分かる中島敬二のインドコラム

モンスーンに頼る穀物 自給自足を維持できるか

2012年3月23日
 
インド政府はこのほど、2011年度(10年6月〜11年7月)の穀物生産量が過去最高の2億5042万㌧になるとの見通しを示した。コメは10年度比7%増の1億200万㌧、小麦は同1・6%増の8800万㌧の見込みだ。
 
1947年の独立以降、インドでは慢性的な食糧不足時代が続いた。だが、60年代末に起きた大規模な食糧危機の前後から植物育種や灌漑設備の整備、農薬の普及といった「緑の革命」を実施し、穀物生産量が飛躍的に伸びた。その結果、独立後60年あまりで人口は3・7億人から12・4億人にまで増えたにもかかわらず、穀物を自給自足できる国となった。
 
しかし、収穫量はモンスーンに左右される面が大きい。今回、豊作となった主な理由は、降雨量が多かったことだ。灌漑設備の整備はまだ不十分だ。
 
インドの人口は今後40年ほどで17億人に増える見込みだ。自給自足体制をこのまま維持できるか疑問だ。インド人の友人は「現在、30%もの穀物が消費されずに廃棄されているが、将来的には物流や保管体制の改善が進み、廃棄される量も少なくなるだろう。人口が増えても心配ない」と言う。だが、私が「干ばつになったらどうなるのか。人口増加と生産量の落ち込みに耐えられると思うか」と尋ねると、彼は何も答えられなかった。
(こちらの記事は過去の週刊エコノミストに掲載されました)