インドビジネスがよく分かる中島敬二のインドコラム

変わる免税店 経済発展を映す

2011年09月08日
 
商社マンだった頃、海外の免税品で買い物することが海外出張の楽しみの1つだった。だが、出張先がインドとなると話は別だ。
 
1980年頃のインドは外貨事情が悪く、出国時だけでなく入国時の免税店でのタバコや酒類などの販売を、外貨獲得の手段としていた。だが、その割には、免税店の広さはコンビニ程度しかないうえに品数は少なく、価格も決して安くはなかった。シンガポールやドバイといった国の免税店の活況に比べ、いつも閑散としていた。
 
今、インドの免税店は大きな変貌を遂げている。デリー空港には以前とは比べ物にならないほどの免税店が並び、世界各国の一流品が販売されている。特にシングルモルトウイスキーの種類は150種類以上と、アジアでは最も豊富な品揃えだという。
 
品数の増加だけではない。インドの空港内での店舗の運営維持費が安価なため、他国の免税店より品物の値段が安い。例えば、デリー空港の免税店のタバコは欧州の免税店より最大70%、東南アジアの免税店と比べて20%ほど安いという。IT業が盛んで「インドのシリコンバレー」と呼ばれるバンガロールの空港の免税店では、ソニー・エリクソン製品がドバイ空港の免税店と比べて20%以上も安い。
 
このバンガロール空港で特に人気のお土産品の1つが、スイスの高級チョコレート「リンツ」だ。インドITサービス大手のインフォシス・テクノロジーズやウィプロなどを訪れる大企業の幹部が、こぞって買って帰るそうだ。筆者が商社マンだった頃からは考えられない。経済発展の高まりは、免税店のあり方や免税店を取り巻く環境にも変化を及ぼしている。
(こちらの記事は過去の週刊エコノミストに掲載されました)