インドビジネスがよく分かる中島敬二のインドコラム

大気汚染「世界最悪」に インド政府は反発

2014年05月19日
 
世界保健機関(WHO)は世界の大気汚染に関する報告書の中で、首都ニューデリーは微小粒子状物質「PM2・5」の濃度が北京を抜いて世界で最も高いと発表した。PM2・5の年間平均濃度はWHOが定める基準値の15倍となる1立方㍍当たり153マイクロ㌘で、北京のおよそ3倍に当たる。
 
インド政府は「夏季と雨季は北京より数値が低い」と強く反発しているが、デリーの住民にとって大気汚染はすでに深刻な問題になっている。環境活動家たちは「弁解するよりも、大気汚染を軽減することに政府は目を向けるべき」と批判を強める。
 
デリーの大気汚染は悪化の一途をたどっている。在インド日本大使館も今年3月、PM2・5の濃度上昇への注意を呼びかける注意喚起書をデリー在住の日本人に配布した。日本人駐在員の中には、肺の機能障害のために任期途中で帰任する人も出てきている。
 
デリーの大気汚染が急速に進んだのは、自動車の増加と排ガス規制が不十分であるためといわれている。政府がディーゼル燃料販売に補助金をつけているため、デリーの街中にはディーゼル車が多く走る。デリーやムンバイなどの大都市では欧州並みの基準の排ガス規制を行っているが、自動車台数が急増しているため、効果は限定的だ。もちろん、工場からの排煙も原因となっている。
 
デリー市内には緑地帯が多く設けられており、大気汚染の緩和にも役立っていると考えられている。だが、事態は深刻だ。環境活動家はさらなる規制の強化を政府に求めている。
(こちらの記事は過去の週刊エコノミストに掲載されました)