インドビジネスがよく分かる中島敬二のインドコラム

農業政策をテコいれ 生産性向上を見直し

2014年3月9日
 
米シンクタンクのワールドウォッチ研究所が1980年から2011年までの30年間の農業人口増加率に関する統計を発表した。インドは50%増加しており、世界で最も高い増加率だという。
 
現在、インドの農業人口は約2億3000万人、耕地面積は米国に次いで世界で2番目の規模を誇る。コメ、麦など穀物類の生産がさかんな農業大国だ。だが、農業人口が増加したのは80年代までで、90年代以降は減少し続けている。国民総生産(GDP)に占める農業の割合も、00年代前半は20%近くあったが、12年には13・7%まで低下した。
 
問題は農業の近代化・効率化の遅れにある。60年代後半以降の「緑の革命」により、インドの農業の生産性は飛躍的に向上した。当時、政府は農民の技術向上を支援する政策などに積極的だった。
 
だが近年は、技術的な支援よりも、農村部の低所得者を対象にした貧困対策の側面が色濃くなりつつある。バラマキ型の補助金が増加したことで農業従事者の活力が奪われ、農業の生産性向上に向けた努力が置き去りにされてしまったといわれている。
 
危機感を持った政府は、農業部門のテコ入れに動きつつある。農産物の品質向上のための研究機関の充実化や灌かんがい漑設備など農業インフラの改善などに着手している。
 
これらの政策は即効性を望めるものではないが、農業の再活性化への期待は高まりつつある。
(こちらの記事は過去の週刊エコノミストに掲載されました)